この記事では青年海外協力隊の応募から審査、審査合格後から出国までの大まかな流れとそれに要する期間についてまとめています。
もくじ
協力隊という選択肢
友人や職場の同僚の中でも、海外生活に興味を持つ人は意外とたくさんおられます。仕事のための研鑽をと考える方、ご自身の経験を海外で活かしたいという方、自分の専門職だけでなく語学も磨きたい方、とにかく何かしらの経験を積みたいので海外で長期間仕事をしてみたいといった方まで様々ですが、実際に海外での生活を考えた時の選択肢の1つとしてよく挙がるのが青年海外協力隊です。大学生でも卒業後の進路として考える人も最近は多いようです。
今この記事をご覧いただいているということは協力隊の活動に関心があるけれど、まだ迷っていたり意志が固まらなかったりするということだと思います。少しでもそんな方々のお役に立てれば幸いです。なお、ここで紹介している内容は、実際に現地で活動した経験のある方々の意見も含めて形にしたものですが、実際には細かな変更が多々生じる可能性があります。予めご了承の上、ご一読ください。では早速内容に入っていきましょう!
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(※投稿予定)☆言語を学ぶのにJICAは選択肢となりうるか?
応募から合格をつかむまで
年に2回の募集
-- 春募集(2023年公式HP要項を元に作成) -- | -- 秋募集(2023年春募集をもとに仮で作成) -- |
■5〜7月 応募 ■7〜8月 1次選考開始、合否通知 ■8〜9月 2次選考開始 ■10月 合否通知 ■派遣隊次 ・2023年度4次隊(訓練開始2024年1月) ・2024年度1次隊(訓練開始2024年4月) ・2024年度2次隊(訓練開始2024年8月) ・2024年度3次隊(訓練開始2025年1月) | ■11〜12月 応募 ■12〜2月 1次選考開始、合否通知 ■2〜3月 2次選考開始 ■4月 合否通知 ■派遣隊次 ※個人の希望調査をもとに各隊次に当てはめ |
応募から訓練開始間までの日数
晴れて合格を掴み取ったあとは、派遣隊次ごとに実施される派遣前訓練の準備期間となります。この間も語学をはじめとする事前学習(職種、派遣国による)が実施されたり、人によって追加で書類等を求められる場合もあります。やらなけれないけないことが意外と多いのでバタバタする日々が続くでしょう。細かな日程については今後違いが出てくると思いますが、各過程で要する日数は以下のように考えてよいでしょう。
■応募から受験までの期間:最長2ヶ月程度
■受験(1・2次試験)から最終合格通知までの期間:約3ヶ月
■最終合格通知から派遣前訓練開始までの期間:最短で約3ヶ月
選考のために様々な書類を作成する必要があります。一般的な履歴書形式の書類のほか、あなた自身の経験をPRする書類(職務経験)など、その種類は多岐にわたります。特に職務経験は職種(派遣国での業務内容)に大きく関係する書類なので、じっくりと内容を精査しながらの作成となるはずです。字数制限もあるので作成にはかなり時間を要するでしょう。応募前から取り掛かっている人が多いかと思いますので、その時間も踏まえると想像以上に時間がかかっていることが分かります。
以前の2次試験では面接のために東京へ移動する必要がありましたが、現在はウェブ面接となっています。合格を掴むまでは非常に長丁場であり、精神的になタフさが求められることは間違いありません。
派遣前訓練と現地派遣まで
派遣前訓練
派遣前訓練とは訓練所にて実施される長期訓練を指します。場所は福島県二本松と長野県駒ヶ根にそれぞれ設置されている訓練所のいずれかで参加することになります。訓練が二本松になるのか、それとも駒ヶ根になるのかは派遣国によって決まります。ここ数年(2022年現在)はアフリカ・アジア圏が二本松、中南米は駒ヶ根となっています。
訓練期間と出発までの時間
訓練期間は60〜70日程度(以前は90日)となっていて、この間は語学を中心に安全対策、健康管理などの各種講座を受講することになります。訓練の最終週になると試験が実施されます。語学と訓練中に学んだ各種講座に関するものです。詳細はここでは省略しますが、各隊次の訓練が開始される目安時期を以下にまとめました(あくまでも目安で、実際には年度により異なる可能性があります。出願をされる場合には公式HPにて必ずご確認ください。)。隊次ごとの出国時期も併せてご覧ください。
■2023年4次隊ー 訓練開始:2024年1月、訓練終了:3月中旬、現地派遣:最も遅い国7月上旬
■2024年1次隊ー 訓練開始:2024年4月、訓練終了:6月上旬、現地派遣:最も遅い国10月上旬
■2024年2次隊ー 訓練開始:2024年8月、訓練終了:10月上旬、現地派遣:最も遅い国12月下旬
■2024年3次隊ー 訓練開始:2025年1月、訓練終了:3月中旬、現地派遣:最も遅い国7月上旬
※注1 出国日は国ごとに大きく異なります。これは手続きに要する時間が異なるためです。現地に出国するタイミングはアフリカ勢が早く、アジア勢が遅れる傾向があります。
※注2 2023年は4次隊まで編成されていますが、2024年は3次隊までの編成となっています。年度によって要請の数が異なり、派遣される隊員の数にも差が生じます。出願される場合には、出国の時期に十分注意しながら受験されることをお勧めします。
いかがでしたか?ざっくりとですが流れを把握していただけたでしょう。そして、訓練開始から現地に派遣されるまでに、最長で約半年を要するということに驚かれる方も多いのではないでしょうか。そうです!事がとんとん拍子に進むわけではなく、割と1つ1つの段階で時間がかかってくるのです。国名は出せませんが、もしあなたご自身が「◯月までには現地に着いているだろう」という考えを持っていたとしたら、大きなズレが生じる可能性があるということを知っておいてください。
最後に
今回は協力隊になるまでの大まかな流れ出国までに要する時間について紹介しました。
試験や訓練についての期間は情報が公開されているのでよく知られていますが、訓練が終わってから実際に出国するまでの期間はあまり知られていません。実際に私がこの情報を知った時にも、国によっては待機時間が長すぎると感じました。私と同じように「えっ、出国までそんなに待つ可能性があるの?」と思った方も多いはずです。もしあなたが「協力隊から帰国して、◯◯年までに△△したい」と逆算して計画をたてていたとしたら、予定を再検討する必要が出てきた人もいるのではないでしょうか。
この記事を書いた理由も実はそこにあります。
極端な例を出せば、コロナのような疫病が広がった場合には、要請がストップする可能性もあります。つまり派遣自体が無くなる可能性があるということですが、このような場合には待機云々で済む状態ではありません。これについては別記事の「協力隊のメリット・デメリット」で紹介しようと思いますのでここでは割愛します。
もし順調に進んでいたとしても、長期間にわたってモチベーションを高く維持し続けるのはとても難しいことです。モチベーションの維持が難しいということは、語学だけでなく、専門職種に関係する知識や現地の文化に関する情報収集など、様々な活動への取り組み方にも影響が出てきます。もし語学がおそろかになってしまうと、現地に行ってからかなり支障が出ますので貴重な時間を有意義に過ごせなくなりますね。待機時間も含めてある程度の計画性を持ち、万全の準備をした上で現地での生活を十二分に楽しんでいただきたいです。なので、訓練を終えた時に「出国まで2ヶ月もある、どうしよう」となるのではなく、「もう計画してあるから大丈夫!」と言えるように準備をしてください。
さて、長々と書いていきましたが、時間だけではなく、生活費をはじめとして諸々の出ていくお金のことを計算したり、各種届出もしないといけません。訓練開始前からの期間はなかなかハードなものになるでしょう。この記事が協力隊を目指している方々、すでに合格された方々のより良い準備につながることを祈っています。