青年海外協力隊

青年海外協力隊、やめとけ?〜現役隊員が考える、青年海外協力隊の意義〜

この記事では青年海外協力隊の意義ついて、年齢や職種を踏まえて自身の考えをまとめてみました。貴重な人生の2年間を協力隊に費やすのかそれとも他の選択肢のために使うのか、みなさんの参考になれば幸いです。

 

はじめに

 今回は自身の振り返りも含め、どのような人が青年海外協力隊に適しているのかについて考えてみました。

 応募するか悩んでいる人も多いと聞きます。あくまでも私見にはなりますが、その方の判断に役に立てればと思います。協力隊に向いている人、向いていない人、あるいは経験した方が良い人、そうでない人にも触れていますので、ぜひご一読ください。

 

 

青年海外協力隊ってどうなの?

 最近ではSNSなどでも広告が見られるようになりました。動画などを見ると、満面の笑みで現地生活に溶け込んでいる隊員の姿があります。活躍している隊員がキラキラしていて憧れてしまう人も多いのではないでしょうか。ただ、これについてはもう少し慎重になるべきだろうと思います。というのも、その「キラキラしたシーン」は日常のほんの一場面でしかないからです。

 

 確かに、海外で生活する(働く)という経験はそれほど簡単なことではありませんね。「今の仕事はどうする?」「生活のお金は?」「生活は安全?」「相談する人はいるの?」など、不安なことを挙げればキリがありません。そういった不安を一気に払拭してくれる手段の1つが「青年海外協力隊」であるというのは誤りではないでしょう。組織が大きく、隊員が派遣されてきた歴史もあるため、金銭的援助や安全面での支援に関しては制度として比較的整っていると言えるからです。

 

 ただ、先ほど少し触れたように、「キラキラした場面だけではない」というのが実情です。あくまで例えばの話ですが、青年海外協力隊の経験者に聞いてみても以下の項目に関してそれなりに該当する人がいます。

CP(現地の補助員さん的な立場の人)がそもそもいない場合がある。

 現地で誰と仲良くなり、誰と繋がりを深めるかは自分自身で判断していかなければならないでしょう。システム的に「困ったらこの人に頼りなさい!」という形は準備されているものではないと考えましょう。

 

要請がほとんど体を成していない。

 いざ仕事を始めようとしても、「ボランティアには任せられない」とか「あなたは何がしたくてここに来たの?」という言葉を聞くのは日常茶飯事です。現地で仕事が準備されているケースは多くありません。あくまでも職種によりますが、詳細が気になる方は同じ国で同じ職種を経験した方に直接確認しておいた方が良いと考えましょう。

 

配属先の人にビジョンがない(もしくは、したいけどできないことが多い)

 日本から隊員を呼んではみたものの、何を任せたら良いか現地の人が図りかねているケースがあるようです。また、アイデアは素晴らしくても現地の予算等も含めて実際に行うことができないといったことも多々あります。日本での経験が役に立たず、現地の生活をしていく中で「できることを見つけていくこと」からスタートしなければならないことがあります。

 

 このように、応募するにしても、想像以上に自分の立ち位置が「ふわふわしたもの」であることは知っておいた方が良いでしょう。どのような状況にあっても「自分は◯◯をしようと思います」と行動できる人でないと、現地での生活は満足のいくものにならない気がします。

 

あなたは協力隊に向いてる人?向いていない人?

 さて、今回の記事の本題である「青年海外協力隊の活動は意味があるのか」について見ていきましょう。

 実際に現地に派遣されてみると、「年齢・世代」や「職種」で現地生活の捉え方が大きく異なります。おそらく「社会への貢献意欲(やりがい)」「自身の将来展望(ビジョン)」が影響するのだと思います。あなたはどのグループに該当するでしょうか。青年海外に挑戦するかどうかの参考にしてみてください。 

 

年齢で見る青年海外協力隊(シニアを除く)

  ★1(不適)ー★3(適齢)ー★5(最適)

 

20代前半 ★3

 大学在学中もしくは卒業後に参加する人が中心となります。社会人経験が多くない(応募できる職種が限定される)ため、協力隊の中での占める割合は大きくありません。割合にして10%いるかどうか程度でしょう。この年齢の隊員にとっては、海外での経験は比較的プラスになると言えます。同世代のなかで海外生活を経験している人がそれほど多くない点、異国での文化体験や言語習得できる点でも、協力隊での経験がマイナスに働くことはないでしょう。ただ、帰国後の就職の際に、協力隊経験が評価されるということはありませんので、その点は注意しましょう。

 

20代後半 ★5(適齢)

 社会人経験がある方が多くを占めます。仕事を辞めて参加される方が多い印象で、一部が現職参加です。この年齢の隊員は、人生の分岐点として協力隊を位置付けている人が多く、帰国して新たな道へ進むことを想定している人も多いです。意欲的に言語習得に取り組むのも、それが理由の1つになっていると考えられます。この世代の人にとっては、2年間の海外生活がネガティブなものとなることは少ないと言っていいでしょう。協力隊に参加するタイミングとしては最も適齢と言えます。

 

30代 ★1

 人生で最も多忙な年齢にあたるはずです。現役隊員の中ではマイノリティ(おそらく多く見積もっても15~20%ほどの割合)でしょう。結婚や転職といった様々なことを考える必要がある年齢だと思えば、海外に行って、しかもボランティアで活動することのメリットはそれほど大きくないでしょう。たまに相談されますが、退職せずに現職参加をお勧めします。起業を考えている方もおられるようですが、現地での生活はかなりスローなものなので、もしも起業するためのステップと考える人は現役隊員などから情報収集をしっかりしたほうが良いです。見切り発車しないよう、細心の注意を払ってください。

 

40、50代 ★4

 隊員の10〜15%ほどの割合がこの世代になると推測されます。社会人経験が長いこともあり、高度なスキルを習得されている方が多いです。立場や肩書きは様々ですが、子育てを終えた方や日本で働きづめだった方が「外に目を向ける機会」と考えて志願されているように思われます。「海外生活への憧れ」や「海外の生活スタイル」を求めてくる方もおられます。そのため、新たなステップアップや将来展望という形で話をされる方は多くありません。そういう意味では、協力隊の2年間の活動は楽しめる可能性が十分にあります。

 

職種で見る青年海外協力隊

 次に職種をいくつかのグループにざっくりと分けて、現地の活動について触れてみます。

学校教育系(環境教育除く)

 配属先が学校(公共事業・農林水産関連、専門職含む)の場合には、現地で「先生」として働くことが想定されます。そのため、子供(生徒・学生)たちと接する機会が多く、日常的に楽しく活動ができることが多いようです。満足度が高い職種の1つと考えてい良いでしょう。学校内で役割が明確に割り当てられるため、こだわりを持った取り組みや自分なりの改善も加えやすい仕事環境にあると推察されます。一方、活動場所が配属先に限定されてしまうので、ご自身でネットワークを広げていく努力が求められます。

 (例)小学校教育、日本語教師、体育など、そのほか教育機関配属の要請

 

廃棄物処理・環境教育(そのほか公共事業含む)

 環境局や廃棄物処理に関わる公的施設が主な配属先となります。業務はゴミの分類啓発や分類収集のシステム構築とされています。しかし、廃棄物の収集システムの構築や処理技術の向上はインフラの問題であることが多く、隊員の活動でできることはかなり限定的な職種と言えます。現地に行ってゴミ拾いから始める隊員も多いですが、「やりがい」や「将来の展望」という点で取り組みが難しい職種の1つです。廃棄物処理・環境教育のほか、上下水道や水質検査なども必要物資が不足したりインフラが未整備であるため、想定していた活動ができないという状況は多々あります。

 (例)環境教育、廃棄物処理、建築、土木など

 

各種スポーツ(サッカー、陸上、バレーなど)

 体育教員とは異なり、クラブチームで専門的な競技指導をする職種です。コーチのような位置付けと要請に書かれていることがあるようですが、配属予定がナショナルチームであっても大学生・高校生のチームであっても、専門のスタッフがすでに置かれているケースが圧倒的に多いです。そのため、あくまでサポートやメンバーの相談役のような立場になることが多いとのこと。前衛に立ってバリバリ指導をするということは極めて珍しいものと考えましょう。

 (例)ソフトボール、野球、ラグビーなど各種スポーツ

農林水産関連

 現地の農業・林業・水産業に携わる職種になります。基本的には現地の方と行動し、そのコミュニティで生活することが多くなるため、人とのつがなりが強く感じられる職種です。業務は先輩隊員からの流れを引き継ぐことが多いため、隊員が先頭に立つというよりは現地の方の補助に努めるという国が多いようです。現地の生活に馴染むにはとても良い職種ですが、農林水産関連の仕事なので仕事の成果が目に見えにくく、やりがいに直結しにくい側面があります。ただ、帰国後に現地コミュニティとのつながりを生かし、資源の活用に関わる起業する方もおられるようです。

 (例)コミュニティ開発、野菜栽培、果樹栽培、コーヒーなど

医療・保健

 基本的には病院や保健所等の関連機関に配属されます。業務自体はレクチャーがベースになります。各国で日本と同じような医療・保健衛生システムが採用されているわけではありません。そのため、例えば理学療法と作業療法といったような、日本では別とされる分野が整理されないままの国もあります。衛生に対する考え方も、日本で想定されるよりも広く浅くといった知識が求められることもあるようです。残念ながら技能を磨く場所にはなりませんし、新しい知見が得られる場所でもありません。活動場所が配属先に限定されてしまうので、ご自身でネットワークを広げていく努力が求められます。

 (例)看護師、理学療法士、作業療法士、保健師、公衆衛生など

 

 

おわりに

 青年海外協力隊の活動を年齢や職種で分類し、意義について考察してみました。

 参加する時の年齢が違うことで活動への熱量に差があったり、職種によって日々の取り組み方が全く異なることがご理解いただけたのではないでしょうか。このことは、現地で生活するときのモチベーションの維持であったり、帰国後の自分のビジョンに直結するものです。ひいては、2年間が本当に有意義に過ごせるのかどうかを左右する要素でもあると言えます。

 確かに海外経験は貴重なものです。ただ、「誰にとっても有益な経験」というものはありません。一昔前と比べても、他国で仕事をすることのハードルは大きく下がっているので、青年海外協力隊はあくまでその選択肢の1つに過ぎないという考えを持つべきでしょう。また、悲しいかな、現実には協力隊の経験を求める企業(求人)は多くありません。自身の年齢と今後のキャリアについてはしっかりと検討する必要があります。

 協力隊が向いていない人と感じる人は相当数おられます。例えば、帰国後のビジョンが明確であったり、新しい知見を得られると考えている人です。その人たちにとっては現地の活動が退屈に感じられる可能性が高いです。というのも、日本ほど勤勉で事業がスムーズに進む国はないからです。もしかすると「向いていない」という言葉は不適切かもしれません。正しくは、「やりがいを感じられない」、でしょうか。いずれにせよ途上国の人は仕事に対してそれほど熱量がありません。社会に貢献したいという思いが強すぎると、途上国の洗礼を受けることになります。

 したがって、自分が「なぜ海外に行きたいのか」「海外で何をしたいのか」そして「本当にできそうか」ということをしっかりと考えて決断をしていかなければなりませんね。そういう意味では表に出ている良いニュース、聞こえの良い話だけに耳を傾けていてはいけません。経験者に話を聞いたり、2年間を待たずに帰国された方(任期短縮)の意見なども聞いておくことをおすすめします。

 

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