今回はインドネシアの教育がどのような形で行われているのか、「学校の種類」と「時間割」に注目して紹介していきます。「このご時世、学校はどこの国もある程度同じじゃないの?」と思っていたのは大きな誤りで、イスラム国家ならではの特徴的な教育が行われているといって差し支えないでしょう。はっきりいってしまうと、管理人は馴染めないというのが正直な感想です。何に困ったのか、、、、ぜひご覧ください!!
はじめに
さて、今回はインドネシアの学校の種類と時間割ついてまとめています。学校はどこも同じだろう(もしくはそんなに違わないだろう)と思っていたのが大間違い。こんなところでもカルチャーショックを受けるなんて、というのが本音です(笑)。
書きたいネタは多いのですが、今回は「さすが宗教色が強い国」といった感じで学校の種類を簡単に紹介した後、時間割や生徒の実態についてまとめていきます。インドネシアや世界の教育に関心のある方はぜひご一読ください。
どんな学校がある?
インドネシアの学校にはいくつか種類があります。日本と同じように公立と私立の学校があるほか、宗教省管轄の学校というのもあります。宗教省管轄の学校はマドラサと呼ばれています。マドラサの方がより宗教を重視した内容のカリキュラムになっているそうです。ただ、マドラサについてはあまり情報がないので、ここでは公立学校を中心に紹介していきます。
公立学校の場合、名前に特徴があって、例えば公立の中学校だと「SMPN 12」といった表記になります。これは「Sekolah Menegah Pertama Negeri 12」の略称で、「Sekolah menegah Pertama」は「中学校(意味的には中等教育)」と捉えて貰えば良いでしょう。そして「Negeri 」は「公立」を指します。つまり、「公立第12中学校」といった感じです。これに都市名が付け加えられて「ジャカルタ第◯◯中学校」みたいな感じで呼ばれるわけです。
ちなみに小学校はSDで「Sekolah Dasar(基礎学校、初等教育)」。高校にはSMKとSMAがあります。それぞれ「Sekolah Menengah Kejuruan」と「Sekolah Menengah Atas」の略称で、「職業高校」、「一般高校」を意味します。日本で言うならば「職業高校」が工業高校、「一般高校」が普通科にあたります。
私立の場合は数字のナンバリングがないのですぐにわかります。中には「イスラミック◯◯」なんていうムスリムのための私立学校もあったりします。そのほかカトリックの学校や日本人学校、インターナショナルスクールもあったりしますので、本当に多様です。
学校ってどんなの?
ジャカルタ周辺の公立校は壁面が濃い緑や青色で塗られていることが多く、日本人からすると少し違和感があります。壁だけでなく校舎も緑色なのです。なぜ緑色なのか聞いてみましたが、それらしい理由はいまだに見つかっていません。
【写真 公立学校の壁面・校門】※Google Mapより転載
公立学校は日本と同様に地域の子どもたちが入学する一般的な学校です。
近年の急激な人口増加(生徒数の増加)により、私がいる地域の中学校ではどこも1学年8クラス(1クラス40名)が基本となっています。生徒の数が増える中で教員の配置が追いついていないという声を聞いたりします。なかなかインフラも追いつかないようで、環境設備の整備も大きな課題となっています。
例えば、私立学校には理科の実験用具がたくさん用意されているのに、公立学校では顕微鏡の数も40人で3個しかないといった具合です。全員に行き渡る状態ではないのです。経験的・体験的な知識を得ることが難しいので、教育を変えていくには教員の資質を向上させ、授業のあり方も再検討される必要があると感じます。
【写真 とある私立学校の校舎と校内庭園】
アガマと時間割
アガマ
普通の公立・私立学校でも宗教(アガマ、agama)という科目があって、授業の1つとして教えられています。さすがイスラム教を国教とする国です。
その授業ではカトリックの生徒はどうしているのかいまだにわからずです(すみません)が、生徒はアラビア語を学び、アラビア語で書かれたコーランを読んでムスリムとしての素養を高めます。
時間割
続いて時間割ですが、中学校では大体朝7時から朝礼などの集会が行われ、8時から1時間目がスタートするケースが多いようです。
終業時間は金曜日を除いて14時までとなっています。金曜日は男性がお祈りをしなければならないので授業は午後までで終了となります。
授業は1コマ40分で組まれますが、同じ科目が2~3時間連続で組まれます。
それが14時までに3回のルーティーンとして実施されます。つまり、1日に1科目2時間の授業を計3科目(または1.5時間で4科目)という枠で時間割が組まれています。時間配分だけ見ると日本の大学生の時間割みたいな感じです。
ただ、実際には見過ごせない重大な事実があります(笑)。
何かというと、間におおらかなインドネシアなので、開始時間と終了時間がほぼ守られていないということです。
日本人には理解できないと思うのですが、ほとんどの先生は授業開始してから30分たってからやっと教室に向かいます。授業より食事の方が大切なのです。朝が早いので多くの先生方は間食をしています。もちろん子供達もですが。
そして遅れて授業に行き、当日予定されていた内容が終わると、授業時間に関係なく授業を終えてしまいます。
先ほど1科目120分と言いましたが、実際の授業時間は45分程度になるケースが多いようです。もちろんこれは地域差があるので一概には言えないし、むしろ私のいる環境が特殊である可能性はあります。
でも日本と比べると圧倒的に授業時間数が少ないことが分かります。
実は学力が身につかない理由の1つがこれだと言われています。勉強よりも間食を勧めたりするので、勉強時間が十分にとれず、学習習慣が身につかないのです。結局のところ、それが識字率を含めたあらゆる基礎能力に影響し、将来的に所得格差として国が抱える問題に直結してしまうわけです。
どんな子どもたちがいる?
最後に、インドネシアの子どもたちについて紹介しましょう。
インドネシアの子供たちは、非常に感性が豊かです。感情や自身の考えを表現したりする活動がとても好きなように見えます。スマホの普及率も高いので、Tiktokやインスタグラムも大好きです。むしろ、好きすぎて自己顕示欲が高すぎではないか心配になってしまうくらいです。
授業でも同じことが言えます。楽器を弾いたり、体育の授業でダンスを楽しそうに踊っている場面をよく見かけます。絵を描いたり、色付け作業も大好きです。日本だと恥ずかしがって踊れない生徒や、他人の目を気にしすぎてしまう子どもも一定数いそうです。でもインドネシアはそんなところは微塵もないように見受けられます。
【写真左:校内でバドミントンをしている子どもたち 写真右:朝礼で全校生を前にダンスを披露する生徒】
一方で座学は本当に苦手なようです。人の話を長い時間聞き続けることができません。環境教育の啓発をする際にも頭を悩ませてくれた課題の1つでした。ただ、アクティブなことは大好きなので、それをどう取り入れるかが重要になってきます。授業の詳細は今後少しずつアップしていきます。お楽しみに!
おわりに
今回はインドネシアの学校と学校生活について紹介してきました。
校舎の外観も、日本と比べてかなり様子が違うので驚かれた方も多いでしょう。私学と公立で明らかに投じられている資金に差があることも分かっていただけたのではないでしょうか。インドネシアは所得格差が大きい国としても知られていますが、子どもたちの教育環境にもその影響は顕著に出ているということですね。
また、子どもたちの積極性を国の将来に向けてどう生かすかが重要になっててくるわけですが、時間に対する考え方も大きく違います。インドネシアの方々とうまくお付き合いをしていくのは簡単なことではないと改めて感じます。お付き合いというより、こちらが合わせるしかないのですが、、、。
実際に住んでみると、このスローライフに魅せられる方も多いようです。この時間感覚を前提として、この国がどのように今後発展をしてくのかとても楽しみではあります。ただ、私自身は遠くから見守ろうと思います(笑)。