この記事ではインドネシアの挨拶についてまとめていきます。インドネシア語を学ぶとき、意外と日本人の感覚で物事を考えて言葉にしようとします。ところがここに大きな落とし穴があります。インドネシアでは、朝に人と会ったときになんという言葉が使われているのでしょうか?実は「おはようございます」ではないのです。今回は管理人の実体験を踏まえて紹介していきます。
はじめに
冒頭で触れたように、他国の人に何かを伝えようとするときには自分の国のいいわましを前提に考えてしまうがちです。特に語学の初学者には多いと言えるでしょう。
例えば日本語の「早起きは三文の徳」。これ、学んだ方も多いでしょうが、英語だと「The early bird gets the worm」となります。言いたいことは同じかもしれませんが、使われる言葉は全く違うことがわかるでしょう。
当然ながら言語は各国の歴史的・文化的な背景をもとに成り立ってきたもので、「伝えたい内容」と「使用される言葉」は国々で大きく違うと言うことは理解しておく必要があります。今回は「あいさつ」を取り上げ、その経験を伝えられたらと思います。
インドネシアのあいさつ
インドネシアの人はあいさつは「おはようございます」以外にもある!
日本であいさつというと、朝は「おはようございます」、昼は「こんにちは」、夜は「こんばんは」です。
でも、インドネシアで一般的に使われるあいさつは他にもあります。もちろんインドネシア語で「おはようございます」は「selamat pagi」という言葉がありますので、相手に意図を伝えることができます。ただ、例えば職場に出勤して人に会ったときに使われる言葉はどうかと聞かれると、この言葉ではないのです!
ちなみにインドネシアで使われる「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」は、時間によって変わります。
・おはようございます(selamat pagi) 早朝〜10時くらい
・こんにちは(selamat siagn) 10時くらい〜夕方4時くらい
・こんにちは(selamat sore) 夕方4時〜日没(18時くらい)
・こんばんは(selamat malam) 日没(18時くらい)〜深夜
非常にややこしいですね。国教がイスラム教なので、暦はとても重要になります。日々の生活は日没や日の出が大きく関わります。1日の活動のはじまりも早朝で、日本とは大きく異なります。
インドネシアのあいさつはこれ!
それではインドネシアの方々がよく使う「あいさつ」を紹介しましょう。それは「Assalamualaikum(アッサラーム アライクム)」と言います。そして言われた人は「Wa alaikumsalam(ワアライクムサラーム)」と答えます。
これ、ムスリム特有のあいさつでアラビア語なのです。
例えば、「Assalamualaikum(アッサラーム アライクム)」は講演や先生による全体への挨拶の冒頭に使われる言葉です。なので、言われた側は決まり文句で「Wa alaikumsalam(ワアライクムサラーム)」と返します。
言葉の意味は「あなたに平安がありますように」なのだそうです。そして返す言葉も「あなたにも平安がありますように」となります。
この言葉はムスリムだけが使って良い言葉ではないらしいので、近しい友人がムスリムであった場合、あなた(日本人)がこのあいさつを使っても問題ないとのことです。
日本人にとっては、朝の挨拶は「おはようございます」で始まるかもしれませんが、インドネシアの方にとっては「Assalamualaikum(アッサラーム アライクム)」となります。
あいさつの作法
言葉以外にも、ムスリム特有のあいさつの作法があります。特に驚かれるのが、目上の人に対する作法です。学校では生徒から先生方に対して取られる行動です。
何をするかというと、目下の人が目上の人の手をとり、自分の額や鼻の辺りに当てるというものです。(以下の画像参照(一部引用:イスラムの作法))
細かいことは決まっていないようですが、学校ではほぼ口を手に当ててくる生徒もいるので、少し抵抗があるひともいるかもしれません。
おわりに
ごく簡単な紹介でしたが、いかがでしたでしょうか?
自己紹介などで複数のムスリムの方にあいさつする場面があるならば、ぜひ「アッサラームアライクム」を使ってみていただきたいです。おそらくムスリムの方は驚かれるでしょう。そしてその後の距離感はずっと近くなるはずです。それくらい、ムスリムの方にとってアラビア語も特別なものだと言えそうです。
「おはようございます」「こんにちは」という言葉を使ったからといって嫌がられる訳ではありませんので、心配する必要はありません。インドネシアの方々は宗教的に寛容で、他国の文化を受け入れる態度を身につけておられます。
管理人の経験談になりますが、日本人にとって当たり前の「おはようございます」を現地で使い、「何かリアクションが薄いな」と感じたことが多々あります。おそらくこれが原因でしょう。地方都市に住む方々は外国の方と会う機会が多くありませんので、改めて考えてみると当然かと今なら言えます。
インドネシアを含め、他国に長期滞在するような機会があれば、現地の方の生活習慣に十分な配慮をしていただき、より充実した海外生活にしたいただければと思います。