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インドネシア語って難しいの?〜語学その1〜

 この記事ではインドネシア語を学び始めて1年が経った管理人の個人的な感想をまとめています。シリーズ化していきますので引き続き読んでいただければ幸いです。

 

はじめに

 インドネシア語を始めて1年が経ちました。日本にいるときに学び始め、インドネシア入りして実際に使えるレベルにまでなってきているとは言え、使える言葉はまだまだ限られている感覚です。生活する分には困らないですが、今回は現地生活の中で感じた、インドネシア語学習における注意点や難しさについて紹介していこうと思います。

 

インドネシア語って簡単?

言語の難易度ランキング 

「◯◯語って簡単?」という質問をよく耳にします。ネットでも各国の言語を難易度でランキング化したものをよく見かけます。各ランキングはそれぞれの執筆者が基準を設けたものなので、はっきり言って一概には言えないでしょう。個人差もあると思うので、それを読んだところで「だから何なんだ」という感じになる人が多いかと思います。一般的にはロシア語とかポーランド語、日本語などが名を連ねます。聞いてみると「まぁ、そりゃそうだよね〜」という感じで意外性もありません。

 

 じゃあインドネシア語は?と探してみると「比較的簡単だよ〜」という記事を見ます。難易度ランキングも簡単な部類に属していることが多いです。でもこれ、、、、絶対嘘です(管理人の主観です、あくまでも笑)。

 

インドネシア語の難しさとは

 ではインドネシア語の一体何が難しいのでしょうか。個人的に以下の点が特に頭を悩まされています。

 

英語との違いで困ること〜その1〜(アルファベット)

 日本人は小学校の時から英語を学んでいます。その関係でインドネシア語を始めたばかりの人はインドネシアで使われるアルファベットの読み方に頭を悩まされることになります。インドネシアのアルファベットは英語と根本的に読み方が異なります。Aは「アー」、Bは「ベー」と発音します。ややこしいのがEの「エー」、Nの「エン」、RとLの「エル」、Vの「フェー」あたりでしょうか。EとAは混同しやすく、Nは馴染みがないでしょう。RとLは発音の違いを理解しておく必要があります。

 

 このアルファベットの読み方が日常生活でそんなに影響しないだろうと笑う人もいるかもしれませんが、インドネシアでは略語が多用されています。例えばBCA(ベーチェーアー、Bank Central Asia(銀行名))やMRT(エムアールテー、Mass Rapid Transit(地下鉄名))、UNJ(ウーエンジェー、Universitas Neger Jakarta(大学名))といった感じで、街にはこのような表記が溢れています。日常会話のなかで行き先となる場所やバス停、駅名がこのような表記となっている場合もあります。初めてみた人は「どいういうこと?」と混乱すること間違いなしです。これは知っていないと分からないので対応しようがありません。

 

 人の名前を聞く時にも困った状況になります。自分が相手の名前をパソコンで入力したり、メモに書き残す場合です。相手は口頭で伝えてきますので、さっきのややこしいアルファベット読みを理解していないと誤って書き残してしまうことになります。

 

英語との違いで困ること〜その2〜(単語の発音)

 アルファベットと関連して単語の読み方・発音も注意が必要です。

 インドネシア語には欧米由来の言葉がたくさん使われていて、「komputer(発音:コンプテール、意味:コンピュータ)」「tradisi(発音:トラディシ、意味:伝統)など挙げればキリがありません。オランダ領であったことも影響が強いのはもちろんですが、インドネシア国の成立が日本の独立(WWⅡの後)と同じ時期なので、公用語となるインドネシア語の歴史も浅いです。そのため、欧米由来の単語のほか、使われ始めたのがここ十数年の言葉もあれば、流行り言葉のようにごく最近になって都市部で使われるようになった言葉もあります。かなり今後も変わっていく可能性がある言語ですね。おそらく英語を習ったことがある人であれば、読んだときに何となく意味が分かり、イメージで発音もできることでしょう。

 

 さて、この「何となくわかる単語」が実は初学者にとっては厄介になると思われます。というのも、英語の単語は「インドネシア語読み」されるため、彼らにとっての欧米由来の単語は私たちには伝わらない(分かりづらい)単語になるのです。例を見てみましょう。

 

①BURGER

意味は「バーガー」で、英語読みだと「バーガー」です。ハンバーガーのことですが、インドネシアの方が発音すると、「ブルガル」です。

 

②SURVEY(サーヴェイ)

意味は「調査」で、英語読みだと「サーヴェイ」です。でもインドネシアの方が発音すると「スルフェイ」です。

 

③RIVER

意味は「川」で英語読みだと「リヴァー」です。インドネシアの方が発音すると「リフェール」となります。

 

 何となく言いたいことが伝わったでしょうか。アルファベットの読み方が異なるので、中途半端に英語を知っている人ほど、インドネシアの単語を読む場合には混乱する可能性があり、またこちらが伝える際にも現地の人にとって分かりづらい言葉になる可能性があります。

 

 ではもういっそのこと英語で話してしまえばいいではないかと思った人、大きな間違いです!!!

 インドネシアでは依然として英語を話せない方が多数を占めます。20~30代で、かつ国際関係機関で働いていない限り、英語は伝わらないと考えておきましょう。40代以上の方達はほぼ話せないと思ってください。私も環境教育の仕事をしていますので、「SURVEY RIVER(インドネシア語だと後ろから前に意味を読み返すので、「川の調査」という意味)」を「サーヴェイ リヴァー」と何度も伝えましたが、全く伝わりませんでした。なぜなら、彼らにとって正しくは「スルフェイ リフェール」なのですから、、、泣。

 

1つの単語が持つ意味が多すぎる

 インドネシア語が簡単と言われる理由の1つに「単語が多くない」という理由が挙げられます。でも、それってひっくり返すと1つの単語があらゆる場面で使用されるということになります。これって日本語と対極にあると思っています。

 

 事細かな描写をするときをイメージしてみると良いでしょう。日本語であれば適切な単語を選ぶことで相手にその描写が明確に伝わる可能性が高いです。例えば「雨がしとしと降る」。これを聞いただけで、日本人なら映像として頭にイメージが浮かぶでしょうし、それをこの短い1文で相手に伝えることができるわけです。

 

 ではインドネシア語ではどうでしょうか。例えば「pakai」という言葉あります。これ、意味は「被る、着る、履く、使う」とされています。何となく使われる場面は限られるので、この言葉を使われてもイメージすることは難しくないかもしれません。が、やはり多過ぎないかという印象を私は持ちます。このほか「angkat」という言葉があります。これは「〜を取る、持ち上げる、任命する」といった意味を持ちます。少し幅があるように思われるのではないでしょうか。

  

 通常なら会話には話の流れがあるので、何となく意味を推測するのは難しくないかもしれません。

 でもご注意ください。インドネシアの方は慣用的な表現を多々使います。長文で説明してくれたら理解はできるのですが、実際にはそうはなりません。つまり、「たくさん意味を持つ単語」が単発で使われることが結構多いのです。これがインドネシア語を学び始めた人にとっての最初の壁と言っていいでしょう。「どのような場面」で、かつ「どの言葉が使われているか」で相手の伝えたいことは変わってくるはずです。それを理解できるようになるまで時間を要するのです。そういう意味でインドネシア語の難易度は低くないと感じます。

 

 例を1つだけ出してみましょう。 

 夕方に立ち寄ったお店の人からいきなり「Dari mana?(Dari= from、mana=where(場所を示す疑問詞))」と聞かれました。あなたならどう答えますか?

 この場合、「Dari Jepang(日本から来ました)」と答える場合が多いです。突然の質問だと「どこで仕事してたの?」とか「さっきまでどこ行ってたの?」と聞かれている可能性はありますが、私の場合は外国人なので 出身地を聞かれている場合が多いのです。でもたまに、「どこから来たの?(どこで仕事していたのか)(どこに行っていたの?)」を聞かれている場合もあって言い直すことも多少あります。、、、やっぱり難しい。

 

 逆に、インドネシアの方はおしゃべりが大好きで、話すスピードがかなり早い人もいます。曖昧な表現や会話をより正確に伝えるために情報量を多く伝えることになるので仕方のないことですが、たたみかけてくるように話す人に対しては慣れるしかありませんね。 

 

おわりに

 語学についての投稿1回目と言うことで、インドネシア語について簡単に紹介してみました。アルファベットとそれに関する内容だけでしたが、一筋縄ではいかないことは理解していただけたのではないでしょうか。

  

 当たり前のことですが、普段の会話は教科書のように丁寧な表現にはなっていません。余計な部分を端折って端折って使われていますので、これには慣れていくほかありません。文句を言うわけでもないのですが、やはり語学は現地の人と話してなんぼです。

 

 インドネシア語は簡単そうだから始めましたと言う人。きっとかなり後悔しますよ笑。勉強するなら覚悟を持って勉強しましょう。

 でも覚悟を持って勉強を続けたなら、きっと現地の方と楽しく会話することができるはずです。たくさんの観光地があるインドネシアです。いきなり現れた日本人がインドネシア語を話したら多くの人は喜んでくれます。日本人観光客が突然でインドネシア語を話せばお土産屋さんのおばさんも驚いてきっと安くしてくれるでしょう(?)!

 インドネシアの方々はとても優しいです。挨拶程度であっても話せるようになってみるのもいいですね!ぜひ引き続きご覧いただければ嬉しいです。

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